※レーモンド設計事務所での実績
power photo © Ryota Atarashi
◆建築概要
建 築 主 : 鳥取県大山町
用 途 : 庁舎
建 設 地 : 鳥取県西伯郡大山町
設計期間 : 2004.02~2004.06
施工期間 : 2004.08~2005.03
敷地面積 : 19,716.50㎡
建築面積 : 1,672.48㎡
延床面積 : 2,401.56㎡
構 造 : 鉄筋コンクリート造 一部 鉄骨造
規 模 : 地上2階
敷地は中国地方最高峰である大山の裾野、日本海から内陸に2㎞ほど入った場所にあります。「大山町」といっても海抜0mの砂浜から海抜1,600mの山頂まで標高差が大きく、町内でも気候条件がかなり異なり、敷地は海抜約37mで「大山」というイメージとは遠い海沿いの平地であり、積雪量もさほど多くはありません。
この周辺は海から大山山頂に向けて緩やかな傾斜地が続き、田畑もそれに合わせて段々畑になっており、この地形が大山―日本海の軸線を感じさせ、この軸にそって伸びやかな視界をもたらしています。
全体計画はこのような場所の特性を手がかりに始められました。東西に長く伸び、南側に視界を最大限に開いた形はこの大山―日本海の軸線から導き出され、冬季の北西季節風の強い地なので、北側と北東側は壁面にところどころ横穴を空けて、同時に南北方向の視界の抜けを創るかたちとしました。
設計においては、単純であること、透明性を持つこと、軽快であることを原則としています。町民に開かれた庁舎を体現し、硬苦しくなりがちな庁舎建築において、明るさや気軽さを感じさせることを狙いました。この原則は建物の大枠を決める構造的なことから手摺などの細部に渡ってまで意識しています。構造的には巾14.5m、2層片流れのフレームを定め、これを8mスパンで繰り返した。同一断面により空間を単純化でき、見通しが利くことで利用上も分かりやすくなります。仕上げは素材感を活かした表現とし、装飾的要素や色彩を施すことを極力避けました。外壁内壁ともにコンクリート打放しを主体とし、受付カウンターなどの家具は集成材で統一し、単純な意匠で建物全体に統一感を与えています。建物はメインエントランスを境として折れ曲がっており、折れ曲がりから西が庁舎機能、北東部分は地域住民のコミュニティ活動の場として、また災害時には避難場所としての機能を持たせています。空間的に完全に分離するのではなく、場のつながりを持ちながら緩やかに分離させることを意図しています。日常生活の中では役場に足を運ぶ機会は多くはないと考えます。役場内にコミュニティ活動の拠点を持つことで、様々なイベントなどに活用することができ、住民が気軽に立ち寄ることのできる、活気ある場所となることを願っています。